建築家が設計する家には、住宅メーカーのようにプランによって予め決められた単価や基本価格はありません。
なので、一般的に価格が高くなると思われがちです。
建築家が設計する家は、どの家も構造や仕様が異なるので一律に比較することはできませんが、建築主の家族構成や価値観、住まい方や美意識を大切にしながら、予算に収まるように設計するのが建築家の仕事でもあります。
また、建築主が支払うお金の使われ方に関しては、建築家が設計する家と住宅メーカーの家とでは大きな違いがあります。
また、家を建てる間に生じるリスクや保証については、一般的にあまり知られていないことかと思います。
そんな話も含め、ここでは建築家が設計する家の「費用」と「保証」についてお伝えしたいと思います。
アトリエ24の設計・工事監理費用
アトリエ24では、設計・工事監理費用について以下を目安としています。
施工業者(工務店など)に支払う工事請負契約金額(建築費用)は含まれません。
設計・工事監理費用
1.専用住宅の新築・増築
- 木造:33,000円/床面積㎡
(200万円以上、消費税別途) - 鉄骨造、RC造、混構造、木造3階建てなど:40,000円~/床面積㎡
(200万円以上、消費税別途)
2.住宅(マンション含む)のリフォーム、リノベーション
- 30,000円~/床面積㎡
(50万円以上、消費税別途)
3.住宅の耐震改修、インテリア・エクステリアのコーディネート、バリアフリー
改造などは状況に応じて異なります。
別途ご相談ください。
4.上記住宅以外の建築用途(店舗、オフィス、クリニック等)の新築、増築、リノベーション、用途変更
「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成31年国土交通省告示第98号)」に基づき報酬額を算出し、最終的に建築主との打合わせにより決定します。
設計・工事監理料に含まれる費用
- 交通費(遠方の場合は別途となります)
- 構造設計費用、設備設計費用
- 建築確認申請代理業務
- 中間検査申請、完了検査代理業務
設計・工事監理料に含まれない費用
- 消費税
- 外構等附帯工事の設計は別途費用とさせて頂きます。
- 太陽光発電設備などの特殊な設備設計
- 確認申請及び中間、完了検査申請の手数料、諸官庁の検査関係の印紙代など
- 住宅性能表示、フラット35や長期優良住宅申請業務及びその手数料など
- 地盤調査費用、敷地測量費用など
- 近隣対策調整費用
はじめのご提案に関わる費用
アトリエ24でのはじめのご提案は、ヒアリングからコンセプトをつくり、平面・立面・断面図やスケッチパース、スタディ模型などを作成の上でご説明します。
1.住宅の場合 75,000円
2.店舗・施設等の場合 100,000円~
ただし、設計契約に至った場合は、これらの費用を設計報酬費に含めます。
住宅メーカーとの比較
住宅メーカーと建てる場合と建築家と建てる場合とでは契約形態が以下のように異なります。
1.建築家と建てる場合
2.住宅メーカーと建てる場合
家を建てるために必要な金額を「契約金額」と「工事原価」の2つから見ていきます。
契約金額とは、1.の場合は、建築家と施工業者に支払う金額です。
2.の場合は、住宅メーカーに支払う金額です。
工事原価とは、家を建てるために必要な費用で、住宅メーカーや施工業者が原価を算出します。
契約金額 = 工事原価
ではありません。
契約金額と工事原価は以下のような関係にあります。
契約金額 = 工事原価 + 販売管理費・経費・利益
話をわかりやすくするために、家の価格(契約金額)を3,000万円として図解すると以下のようになります。
住宅メーカーは「工事原価」を公表していませんが、大手住宅メーカー8社が公表しているIR情報や、住宅調査機関、業界関係者の話などを総合すると、工事原価はおおよそ60%程度と考えられています。
住宅メーカーの場合、建築主が3,000万円支払ったとしたら、そのうちの1,800万円程度が、家を建てるために使われ、それ以外は、販売管理費、経費、利益に充てられるということになります。
販売管理費や経費の内訳はおおよそ以下のようになると思います。
- 住宅展示場設置運営費用
- 本店/支店の維持管理費
- 本支店の営業マンや管理部門の人件費・教育費・経費
- テレビCM、新聞・雑誌・パンフレットなどの広告費
- その他
もちろん、建築家や施工業者も適正な利益を得なければ経営が成り立ちませんが、建築家や施工業者においては、販売管理費はほとんど発生しませんし、住宅メーカーほど大きな利益を必要としません。
支払うお金が、どのように使われるのか、ということを建築主が十分に理解した上で選択することが大切だと思います。
家を建てる費用の内訳
家の広告などで「坪単価○◯万円」と表記されているのを見たことがあると思います。
この金額をベースにすれば、新築に必要な金額が簡単に計算できるように感じますが、実はこれは間違いです。
家を建てる費用は大きく分けて、
- 本体工事
- 付帯工事
- 税金などの諸費用
などがあります。
住宅メーカーなどの広告の坪単価や総額には、本体工事のみ含まれる場合が多いようです。
残念ながら、これだけで家としては成り立ちません。
生活するためには、付帯工事も必要ですし、照明器具やエアコンやTVアンテナやインターネット配線なども必要になります。
坪単価や総額だけを単純に比較するだけでは、予算の大幅な見直しが必要になる場合もあります。
アトリエ24が設計する場合、工事請負契約の金額には、付帯工事はもちろんのこと、照明器具や冷暖房機器なども含まれています。
このあたりもご確認の上でご検討いただければと思います。
費用のチェック
建築家にとって、
【その費用が適切か否か判断する】
ことも大切な仕事です。
施工会社が提示してくる見積書は、各社とも数十ページにもおよびます。
建築家は、各社の見積書に書かれた建材や部材、作業項目、労務費、経費など1つ1つチェックしていきます。
その価格は適切なのか、家に対し必要十分な品質なのか、工事に必要な作業はすべて含まれているか、などを確認します。
内容に必ずしも問題があるとは限りませんが、施工会社の都合や、ムダと思える作業や費用が含まれることがあるかもしれません。
時に、品質や構造、強度を維持するために必要な作業が軽視されることがあるかもしれません。
施工会社が常識的な価格を逸脱した低価格を提示してきた場合、工事自体が雑になったり、欠陥工事が行われたり、結局、建築主が損害を被る懸念すらあります。
見積書の確認にとどまることなく、その施工会社が建築主の家を建てるにふさわしい技術、技能を持ち合わせているのか、それを可能とする人員を確保しスムーズに遂行できるかなども、実際に施工会社の責任者と会って確認します。
建築主の希望を満たした設計図書に対して、建築主が納得できる透明性が確保された金額であり、かつ施工会社が事業を円滑に継続できる適切な金額を導き出すことが、建築主、施工会社、設計者の信頼関係を築き、優れた家づくりには何より大切だと考えます。
建築家は建築主に代わって、多くのことをチェックします。
このあたりが、工事監理業務と合わせて、住宅メーカーの家づくりと大きく異なるところかもしれません。
保証について
建築家と家を建てる場合の保証について、不安をお持ちの方々もいらっしゃると思います。
ご安心ください。
2000年4月に施工された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によってすべての新築住宅に瑕疵担保責任が義務づけられました。
これにより、建築家と家を建てる場合においても、施工業者は、引き渡しから10年間、雨漏りや基本構造において問題が発生した場合にはその補償を行わなくてはならなくなりました。
また2009年10月から引き渡される全ての新築住宅に「瑕疵担保保険」が付くことになり、工務店やハウスメーカーが倒産などした場合でも、この保険から瑕疵に係わる修繕の費用が支払われる制度ができ、瑕疵担保責任の実効性が増しました。
加えて、アトリエ24では、上記の保証に加え、私たちが日本国内で行った設計・監理の業務のミスに起因し、その設計監理業務に基づいて建築された建築物に滅失・毀損が生じた場合、あるいは、他人の身体・財物に損害を与え、法律上の賠償義務が生じた場合、当該賠償をカバーするために、建築家賠償責任保険にも加入しています。